FX

産休中に始めたFXで20万円減った30代主婦の話

和歌山県の30代女性Yさん(仮名・産休中)が、育児の合間にスマホでFXを始め、3か月で20万円を失った経緯。

属性32歳女性・和歌山県 損失額¥200,000-
約 6 分で読めます(2,851字)
目次
  1. Instagram から
  2. 初回入金
  3. 3か月の取引結果
  4. 夫への告白
  5. 振り返り:3つの教訓
  6. この失敗の構造
  7. 同じ入口に立つ人へ
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Yさん(仮名・32歳女性・和歌山県の事務職・産休中)から届いた話。産休中に始めたFXで20万円失った経緯を、本人の言葉をたどりながら整理する。

Instagram から

2024年春、Yさんは産休に入っていた。生後まもない子の世話で外出は減り、家にいる時間のほとんどを赤ちゃんと二人で過ごす。まとまった睡眠が取れず、授乳の合間に手が空くのはほんの数分。その細切れの時間に、スマホでインスタを見ている時間が長くなっていた。

タイムラインに流れてきたのが『産休ママのスマホFX・授乳の隙にできる』という広告だった。育児の合間でも片手でできる、同じ立場のママがやっている、というトーンに、Yさんは素直に興味を持った。社会から少し離れた感覚と、収入が一時的に減ったことへの漠然とした不安が、ちょうど重なっていた時期でもあった。

あとから振り返れば、この『同じ立場の人がやっている』という見せ方そのものが入口だった。専門知識ではなく、属性への共感で距離を縮めてくる。投資の中身を吟味する前に、まず『自分にもできそう』と感じさせる設計だったと、Yさんは今になって思う。

初回入金

育児前の貯金30万円から、FX口座に資金を投入した。設定はレバレッジ10倍でドル円ロング。為替が円安方向に動けば利益が出る、という単純な構図から入った。投資の経験はそれまで一度もない。

取引する場面は決まっていた。夫が出勤したあとの昼、子が昼寝に入った短い時間。最初に動かした入金は約5万円ほどで、最初から全額を一度に賭けたわけではない。少額で試し、感触を確かめながら、という入り方だった。それでも、口座にお金を入れて自分でポジションを持つと、相場が気になって仕方がなくなる。昼の取引だけでは収まらず、授乳のために起きる夜中にも、何度もチャートを開く生活に変わっていった。

このあたりから、生活のリズムと相場のリズムが少しずつ噛み合わなくなっていく。本来まとまって眠るべき時間に、損益の上下が頭から離れない。睡眠不足の上に、数字の増減が常に視界の端にある状態が積み重なっていった。

3か月の取引結果

2024年7月から9月にかけて、ドル円は大きく上下した。一方向に素直に伸びる相場ではなく、上がったかと思えば急に戻す、振れ幅の大きい展開が続いた局面だ。レバレッジ10倍のロングポジションにとって、この乱高下は含み益と含み損が短時間で入れ替わる、神経を削る値動きだった。

Yさんの口座残高は、一度の大きな失敗で吹き飛んだわけではない。徐々に、しかし着実に減っていった。最終的な残高は約10万円。投入した30万円に対して、損失は約20万円にのぼった。

育児で慢性的に寝不足の中での判断は、どうしても感情的になりがちだったと、Yさん自身が振り返る。含み損が出れば取り返したくなり、少し戻せば今度は減る前に逃げたくなる。冷静なら通すはずのないところで動いてしまう。相場が荒れているときほど、寝不足の頭は値動きに引きずられた。

夫への告白

口座のことを夫に打ち明けたのは、夫の出張から帰った夜だった。帰宅した玄関で、開口一番、Yさんは経緯を整理して伝えた。先延ばしにせず、その日のうちに、自分から話したかった。

夫の反応は冷静だった。『産休中のお金に手をつけたのは仕方ないが、産後の判断は冷静じゃないから FX は危ない』。責めるより、状況を見て線を引く対応だった。話し合いの結果、FX口座は解約した。

取材の時点で、Yさんは同じ職場で勤務を続けている。投資からは完全に離れ、いまは月々の家計を可視化することに取り組んでいる。何にいくら使っているかを見えるようにするところから、立て直しを始めている。

振り返り:3つの教訓

Yさんが自分の言葉でまとめた、同じ状況の人に伝えたいことが3つある。

1. 産後1年は判断力が不安定(ホルモン・睡眠不足)

体の変化と慢性的な睡眠不足が重なる時期は、ふだんなら下せる冷静な判断が下しにくい。これは気合いの問題ではなく、コンディションの問題だ。相場のように瞬間ごとの判断を求められる場面とは、そもそも相性が悪い。

2. 育児の隙間時間に取引すると、感情的な判断が増える

授乳や寝かしつけの合間という細切れの時間は、落ち着いて値動きを検討するには短すぎる。中断と再開を繰り返すうちに、その場の感情で手が動きやすくなる。『片手でできる手軽さ』は、裏を返せば落ち着いて考える余地が少ないということでもあった。

3. 産休中の貯金は『産後の生活費』。運用に回さない

産休中の貯金は、収入が一時的に細る時期を支えるための生活費だ。値動きで増減する場所に置くお金ではない。減ってはいけないお金を、減りうる場所に移した時点で、土台がぐらついていた。

この失敗の構造

ここからは編集者しらの観察として、この一件をどう見たかを書いておく。投資助言ではなく、構造の整理として読んでほしい。

歯車が狂った最初の点は、入口にあったと見ている。広告は投資の中身ではなく『産休ママ』『授乳の隙に』という属性と手軽さで距離を詰めてきた。同じ立場の人がやっている、という見せ方は、判断のハードルを下げる。中身を吟味する前に『自分にもできそう』と感じさせる順番になっていた。

次に効いたのが、使ったお金の性質だった。動かしたのは産後の生活費にあたる貯金で、本来は減ってはいけないお金だ。減らせないお金を値動きのある場所に置くと、損失への恐れと取り返したい焦りが、どちらも普段より強く出る。減らせないという前提そのものが、冷静な損切りを難しくしていた。

そこに、コンディションが重なる。産後の体の変化と慢性的な睡眠不足、それに育児の細切れ時間。落ち着いて検討する余地が削られた状態で、レバレッジ10倍という増幅装置を握り、しかも相場が荒れていた。隙間時間と寝不足と不安心理という三つが、同じ方向に判断を歪める力として働いた。一つひとつは小さくても、重なると効き方が変わる。

大きな一発で退場したのではなく、徐々に削られていったという経過も、この構造をよく表している。荒れた相場でレバレッジをかけたまま、感情に引きずられた小さな判断を繰り返せば、残高はじわじわ目減りしていく。派手な事故ではない分、どこで止めるかの線を自分では引きにくい。

同じ入口に立つ人へ

産休・育休中の主婦を狙ったFX広告は、近年急増している。隙間時間 × 寝不足 × 不安心理 の3点が、判断バイアスとして強く働く時期だからこそ、手軽さを前面に出した訴求が刺さりやすい。Yさんのケースは、特別に不注意だったから起きたというより、その時期の誰にでも当てはまりうる条件が揃っていた事例として記録しておきたい。

Yさん自身は、いまは投資から離れ、家計を見えるようにするところから立て直しを進めている。減ってはいけないお金がどこにあるのかを、まず自分で把握する。派手さはないが、土台を固め直すという意味では、ここが起点になっているように見えた。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Yさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はYさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • ロスカットは保険であって敵じゃない。動かす方向を間違えると一晩で口座が空になる。
  • 指標発表の前後は流動性が抜けて、設定したロスカット幅を素通りすることがある。
  • 深夜の30分だけのトレードは、判断疲れが乗ったまま画面に向かう時間でもある。
C
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