コインチェック流出事件で兵庫の40代エンジニアが720万円失った話
兵庫県の40代男性ITエンジニアSさん(仮名)が、職場の同僚から勧められて始めた仮想通貨で、2018年1月のコインチェックNEM流出事件で720万円を失った。
Sさん(仮名・42歳男性・兵庫県のITエンジニア、年収約650万円)から届いた話。2018年1月のコインチェックNEM流出事件に巻き込まれ、最終的に720万円を失った。自分の判断ミスというより、預けていた取引所そのものが外から破られた、という種類の損失だった。
同僚の一言から始まった
2017年の秋、Sさんは職場の同僚から「仮想通貨で資産形成ができる」と勧められます。当時はビットコインの価格が連日のように最高値を更新し、周囲でも始める人が増えていた頃。Sさんはコインチェックに口座を開き、12月、価格がピークに近づいたタイミングで参入した。
中心に選んだのはNEM(XEM)という通貨。合わせて800万円分を買い付けた。エンジニアとして技術的な仕組みには明るかったものの、相場の過熱がどの段階にあるかまでは、冷静に測れていなかった。
2018年1月26日、580億円が流出
年が明けて間もない2018年1月26日、コインチェックがハッキングを受けます。預かっていたNEM、約580億円相当が外部へ流出した。取引は一時すべて停止し、Sさんは自分の口座にアクセスすることすらできなくなった。
何が起きているのか、ニュースで知るしかない状況だった。自分の資産が今いくらなのか、引き出せるのか。何ひとつ自分でコントロールできない時間が続いた。
補償は、流出時の価格より低かった
2018年3月、コインチェックは流出したNEMの保有者に対し、1NEMあたり88.549円のレートで日本円による補償を発表します。このレートは、流出が起きた時点の市場価格より低い水準だった。Sさんが受け取った補償額は、約580万円。
補償があっただけ救いではある。けれど、流出前の評価額と比べれば目減りしていた。預けていた資産が、自分の意思とは関係のないところで削られていく感覚だけが残った。
追い打ちの暴落
さらに、2018年初めはビットコインバブルそのものが崩れ始めた時期でもあった。Sさんが手元に残していた他の仮想通貨も、軒並み大きく値を下げていく。補償の目減りと相場の下落が重なり、総損失はおよそ720万円にのぼった。
この失敗の構造
仮想通貨取引所のセキュリティは、利用者がどれだけ気をつけても、外から破られるリスクを完全には消せない。とくに、すぐ取引できるよう常時ネットにつながった「ホットウォレット」での保管は、流出リスクを構造的に抱えている。資産を取引所に預けたままにするということは、その取引所の守りに自分の資産を委ねるということでもあった。
そしてもう一点、Sさんが挙げていたのが参入の時期。価格が連日報じられ、誰もが沸いている局面は、すでに買い手が出尽くしているサインでもある。バブルのピークで入ったことが、流出という不運の打撃をさらに大きくしていた。
この一件のあと、Sさんは保有する仮想通貨を取引所に置きっぱなしにするのをやめ、ネットから切り離して保管する方法に切り替えた。守る側にいたつもりが、預け先の守りに丸ごと依存していた。技術を仕事にしてきた自分が、そこに気づけなかったことが、いちばんの反省点だったという。
Sさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はSさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。
心理と反省ポイント
- 上昇局面の「次の半値」は来る。逃げる速度は買う速度より遅い、と知っておく。
- 出金完了するまでは「利益」ではない。取引所のホット枯渇・規制で凍結することがある。
- 「お前にだけ教える」「上場前」「LINEグループで限定公開」は、ほぼ全部詐欺の入口。
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