暗号資産

FTX破綻で広島の30代教員が290万円失った話

広島県の30代男性公立中学校教員Sさん(仮名)が、YouTubeで知ったFTX取引所に290万円を預けていた。2022年11月のFTX破綻で凍結。

属性36歳男性・広島県 損失額¥2,900,000-
約 6 分で読めます(2,937字)
目次
  1. YouTubeから
  2. 2021年から2022年10月までの運用
  3. 2022年11月の破綻
  4. その後
  5. 振り返り:3つの教訓
  6. 取材記録
  7. 管理人の感想
  8. 返金可能性
共有: X LINE

Sさん(仮名・36歳男性・広島県の中学校教員)から届いた話。YouTubeで知ったFTX取引所に預けた290万円が、2022年11月のFTX破綻で凍結された経緯を、本人から聞き取って整理した。家族は妻と子が1人、投資歴は2年ほど。安定した職に就いている人が、なぜ海外の取引所に家計のまとまった額を預けるに至ったのか。その流れを順番に追っていく。

YouTubeから

2021年初、Sさんは「教員の副収入」というテーマのYouTube動画でFTX取引所の存在を知った。きっかけになった検索や視聴の入り口は『教員でも仮想通貨で稼ぐ』という趣旨の動画で、安定はしているが大きく増えるわけでもない給与所得の人間に向けて作られた内容だった。そこで紹介されていたのが「年利8%のステーキング」という仕組み。預けておくだけで年8%が付くという説明が、堅実な性格のSさんにはむしろ「ギャンブルではない運用」に見えた。ハイリスクな短期売買ではなく、置いておくだけという受け身の形が、教員という立場の自分にも合うと感じたという。

その後、Discord招待で『暗号資産投資家コミュニティ』と称する場へ入った。広島県在住のSさん本人の談によれば、最初は情報を眺めるだけのつもりだったが、同じように本業を持ちながら運用している人たちの書き込みが並んでいて、距離が縮まっていった。動画で抱いた「自分にもできそう」という感覚が、コミュニティの空気で「みんなやっている」に変わっていく。入金へのハードルは、この段階でだいぶ下がっていたと思われる。

2021年から2022年10月までの運用

保有していたのはBTC・ETH・SOLが中心。最初の入金は約58万円で、出張中の夜、ホテルから手続きをしている。出先の一人の時間に、スマートフォンの画面だけで完結する。家にいるときの落ち着いた判断とは別の温度で、最初の一歩を踏み出したことになる。そこから入金は一度きりでは終わらなかった。ボーナスや日々の節約で浮いた資金を少しずつ足していき、合計で290万円に達した。

この期間、相場そのものは大きく動いていた。2021年は暗号資産全体が高値圏まで買われ、SNSには利益を伸ばした人の投稿があふれていた。年利8%という入り口の魅力に加えて、保有していた通貨の評価額が上がっていく実感も重なる。増えているように見える口座を眺めるほど、追加で入れない理由のほうが見つけにくくなる。58万円から290万円までの積み増しは、一度の大きな決断ではなく、相場が後押しする中での小さな上乗せの連続だった。Sさんにとっては「攻めている」感覚すら薄く、ステーキングに置いているだけという認識が続いていたという。

2022年11月の破綻

2022年11月、FTXは経営破綻し、口座は凍結された。預けていた290万円は、引き出すことも動かすこともできなくなった。年利8%のステーキングという受け身の運用は、その資産が取引所の内部でどう扱われていたのかが利用者から見えない構造の上に成り立っていた。預けた資産が手元を離れて運営側の管理下に入っている以上、運営そのものが立ち行かなくなれば、利用者には為す術がない。出金できるうちは「いつでも引き出せる」と感じられても、引き出せなくなった瞬間に、その前提が借り物だったことが分かる。

破綻後、Sさんは米国の破産手続きに対して債権者としての届出を済ませている。手続き上の回収見込みは10〜30%とされ、預けた額がそのまま戻る話ではない。届出をしたからといってすぐ動くわけでもなく、海外の法的手続きの進行を、当事者でありながら遠くから見守る立場に置かれる。失った金額の大きさもさることながら、自分では何も手を打てない時間が続くことが、この種の損失の重さでもある。

その後

仮想通貨からは完全に撤退した。本業の教員勤務は継続中で、生活の基盤そのものが崩れたわけではない。年末の家計レビューのとき、ダイニングテーブルで妻に経緯を告白している。隠したまま処理するのではなく、入金の経緯から破綻までを整理して伝えた。家計のまとまった額が関わる以上、夫婦で共有しておくべき情報だという判断だったのだろう。

取材の時点では、休日は読書や運動といった趣味に時間を切り替え、SNSの広告は非表示の設定にしている。きっかけが動画やSNS経由だったぶん、同じ入り口から同じ気持ちが再び立ち上がらないように、情報との距離の取り方を変えたことになる。撤退と継続が同居しているのが、この話の現在地と言える。

振り返り:3つの教訓

1. 海外取引所のステーキング商品はリスクが見えない

年利8%という数字だけが前に出て、その利回りが何に支えられているのか、預けた資産が内部でどう運用されているのかは、利用者の側からはほとんど確認できない。見えないものは評価のしようがなく、評価できないものは本来リスクを測れない。Sさんの場合、ステーキングを「受け身で安全」と捉えていたが、見えないという事実そのものが、最大のリスクだった。

2. 教員・公務員は安定収入を運用で守るべきで、ハイリスク投資は控える

安定した収入を持つ職業ほど、その安定を土台にした生活設計が組まれている。だからこそ、ハイリスクな商品で受けた損失は、家計のダメージとして長く尾を引きやすい。給与が安定していることと、その給与を原資にした運用で同じだけの安定が得られることは、まったく別の話だった。

3. YouTubeの『副収入』動画は販売目的

「教員でも仮想通貨で稼ぐ」「教員の副収入」といった、視聴者の属性に寄せた動画は、その属性の人を特定のサービスや口座開設へ導く目的で作られていることが多い。自分に向けて語りかけられていると感じるほど、その先に何が用意されているのかは見えにくくなる。入り口で抱いた「自分にもできそう」という感覚そのものが、設計された導線の一部だった可能性を、Sさんの経緯は示している。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Sさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はSさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • 上昇局面の「次の半値」は来る。逃げる速度は買う速度より遅い、と知っておく。
  • 出金完了するまでは「利益」ではない。取引所のホット枯渇・規制で凍結することがある。
  • 「お前にだけ教える」「上場前」「LINEグループで限定公開」は、ほぼ全部詐欺の入口。
B
PRACTICAL CHOICE

もう一度選び直すなら

失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。

C
PROFESSIONAL HELP

専門家に相談する

ひとりで抱えると判断が鈍る。
被害の状況や生活設計の悩みは、その道のプロに早めに話す方が結果的に軽くなる。

FOR YOUR NEXT STEP

次にどこへ進むか

― お焚き上げ済み ―
暗号資産 諸霊位
S院仮想凍結居士
S 様
¥2,900,000-

イニシャルS+仮想凍結+居士(100-300万階位・男性)