暗号資産

岡山の30代女性会社員、草コインで250万円失った話

岡山県岡山市の30代女性会社員Sさん(仮名)が、X DMで紹介された無名コインに250万円を投じ、2024年中盤の崩壊で価値ほぼゼロ。

属性32歳女性・岡山県 損失額¥2,500,000-
約 5 分で読めます(2,461字)
目次
  1. X DMから
  2. 2024年2月の購入
  3. 2024年5月の崩壊
  4. 母親への告白
  5. 振り返り:3つの教訓
  6. 同じ形をした勧誘について
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Sさん(仮名・32歳女性・岡山市のアパレル商社事務)から届いた話。X DMで紹介された無名コインに250万円投じて全損した経緯を、本人の了解を得て整理した。投資の経験は、このときが初めてだったという。

X DMから

2024年初、SさんのXアカウント宛に『次のドージコインを見つけた』というDMが届いた。送り主は20代男性風のアカウントで、フォロワーは2万人ほど。プロフィールには羽振りのよさそうな写真が並び、過去の投稿にはチャート画像と取引画面のスクリーンショットが繰り返し貼られていた。含み益が膨らんでいく口座残高、右肩上がりの値動き、そういった画像が信頼感を演出していた。

Sさんはその少し前から、YouTubeで『億り人ストーリー』系の動画を眺めるのが習慣になっていた。短期間で資産を何十倍にした、という体験談が淡々と語られる類の動画。年収約380万円のアパレル商社事務という日々の中で、そこに映る金額は別世界のものに見えた。DMが届いたのは、ちょうどその別世界が手の届く場所にあるように感じ始めていた時期だったという。

送り主とのやり取りは丁寧だった。急かす言葉はそれほどなく、むしろ『無理のない範囲で』『余裕資金で』といった常識的な前置きが添えられていた。その当たり前の言い回しが、かえって警戒を緩める方向に働いた、と本人は振り返っている。

2024年2月の購入

Sさんは貯金200万円を充て、それに加えて消費者金融から50万円を借り入れ、計250万円相当の該当コインを購入した。購入は海外のDEX(分散型取引所)経由。国内の取引所では扱いのない、名前を検索してもまとまった情報の出てこないコインだった。

最初の入金は約50万円。2024年のある夜、深夜の自室で、自分のPCから送金した。画面の中で残高が増減する様子を眺めながら、ここで止めるべきか、それとも踏み込むべきか、しばらく迷ったという。値動きは購入直後にいくらか上がり、その含み益の数字が、迷いの背中を押した。半月ほどの間に、Sさんは追加の入金を重ねていった。貯金を取り崩し、足りない分を借入で埋め、最終的に250万円という金額にまで膨らんだ。

借入の50万円について、本人は当時、すぐに利益で返せると考えていたと話す。値上がりを前提にした計算が頭の中にあり、その前提が崩れる場合のことは、ほとんど想定していなかった。

2024年5月の崩壊

2024年5月、該当コインのプロジェクトは事実上停止した。運営からの発信が途絶え、価格は99.5%下落。250万円分の保有は、回収額にしてわずか1.2万円になった。

下落は一日で終わったわけではなかった。値が崩れ始めてから、Sさんは何度も画面を開き、ここからまた戻すのではないか、と回復を待った。買い増しで取得単価を下げる、いわゆるナンピンも頭をよぎったが、すでに手元の資金は尽きていた。待っている間にも価格はじりじりと下げ続け、やがて売ろうにも売れない、取引そのものが成立しない状態へと近づいていった。最終的に手元に残ったのが、1.2万円という数字だった。

母親への告白

消費者金融への返済が困難になり、Sさんは実家の母親に事情を説明した。家族への告白は、父親の誕生日の翌日、夕食後のリビングでのことだったという。経緯を順を追って整理し、感情的にならないように伝えた。母親はその場で大きく取り乱すことはなく、最終的に借入分を一括で返済してくれた。

退職という選択はしなかった。Sさんは今も同じ職場で勤務を続けており、母親に立て替えてもらった分を含め、損失は半年から一年ほどかけて少しずつ吸収している最中だという。取材の時点で、生活そのものは元の形に戻りつつあった。

振り返り:3つの教訓

1. SNS DMの『次の100倍コイン』は全て買い手集め

送られてくる『次の○○』というメッセージは、誰かが先に仕込んだものを高く買ってくれる人を探すための声かけである場合が多い。早く買った人ほど得をし、後から入った人が出口を支える。この構造の中で、最後にDMを受け取った側がどの位置にいるのかは、メッセージそのものからは見えない。

2. 海外DEXは規制も保証もない

国内の取引所であれば、最低限の登録制度や利用者保護の枠組みが存在する。一方、海外のDEXで扱われる無名のコインには、運営が消えても誰も責任を負わず、価格がゼロになっても補償の窓口がないという前提がある。Sさんのケースでも、プロジェクト停止後に問い合わせる先は、どこにも残っていなかった。

3. 借入金を投資に流用しない

値動きが期待どおりに進まなかったとき、自分の資金であれば損失はそこで止まる。だが借入を充てていた場合、返済の義務だけが手元に残る。Sさんが最も苦しんだのは、消えたコインの価値そのものよりも、返さなければならない50万円が現実の生活にのしかかってきた局面だった。

同じ形をした勧誘について

『次のドージコイン』『次の100倍』という呼びかけは、2024年に特に目立った形である。新しいコインが立ち上がっては消える流れの中で、まだ無名のうちに買えば大きく伸びる、という物語が繰り返し語られた。だがその物語が成立するには、後から買う人が途切れずに現れ続ける必要がある。供給が増え、買い手が尽きた瞬間に、値は支えを失う。Sさんが入った時期が、その流れのどのあたりだったのかは、今となっては確かめようがない。

Sさんの話を整理して見えてきたのは、判断の一つひとつが、その場では極端に不合理だったわけではない、という点だった。余裕資金でという前置き、少しずつ増えた含み益、すぐ返せるはずという見込み。それぞれは小さな前提で、その小さな前提が連なった先に、250万円という結果があった。どこか一か所で歯車が大きく外れたというより、いくつもの当たり前の判断が積み重なっていく中で、引き返す機会が少しずつ遠ざかっていったように見えた。これは記録であって、何かを勧める話でも、責める話でもない。

LESSONS & CONSIDERATIONS

Sさんの体験から、整理できること

編集者注:以下はSさん個人の体験から整理した視点で、当サイトからの投資助言・売買推奨ではない。投資判断は読者本人の責任で。

A
REFLECTION

心理と反省ポイント

  • 上昇局面の「次の半値」は来る。逃げる速度は買う速度より遅い、と知っておく。
  • 出金完了するまでは「利益」ではない。取引所のホット枯渇・規制で凍結することがある。
  • 「お前にだけ教える」「上場前」「LINEグループで限定公開」は、ほぼ全部詐欺の入口。
B
PRACTICAL CHOICE

もう一度選び直すなら

失敗した道具・口座・サービスを今からどう選び直すか。
比較記事で軸を整理してから動くと、同じ罠を踏みにくい。

C
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