LINEで届いた「内部情報」、480万円が消えた話 ─ 未上場株トークン詐欺、ある朝グループが消えるまでの3ヶ月(50代男性・本人とのやり取り)
K.Sさん(55歳男性・元メーカー総務職)が、3ヶ月で480万円を失った経緯。
同窓会で再会した旧友からのLINE誘導が始まりだった。
K.Sさん(仮名・55歳男性・地方都市の元メーカー総務職)から届いた話。未上場のトークンを買い、3ヶ月で480万円が消えた経緯。きっかけは、同窓会で再会した旧友からのLINEだった。
管理人は仮想通貨を持っていない。だから値動きの話はわからない。ただ、やり取りを読み返すと、お金の話というより、人を信じてしまった話に近かった。
同窓会で再会した、35年ぶりの旧友
K.Sさんがその旧友と再会したのは、地元の高校の同窓会だった。卒業以来、35年ぶり。相手は「都内で投資の仕事をしている」と話していた。身なりがよく、会話も柔らかかったという。
後日、その旧友からLINEの友だち追加が届いた。最初は近況のやり取りだけ。仕事の愚痴、家族の話、健康の話。投資の「と」の字も出てこなかった。
K.Sさんは当時、定年を数年後に控えていた。退職金と、20年積み立ててきた投信が、老後の蓄えのほぼすべてだった。
「お前にだけ教える」と招かれたLINEグループ
投資の話が出たのは、再会から1ヶ月ほど経った頃。「お前にだけ教える」という前置きで、あるLINEグループに招待された。
グループには30人ほどが参加していた。毎日、誰かが「利益が出た」というスクリーンショットを投稿していた。専門用語が飛び交い、講師と呼ばれる人物が相場の解説をしていた。
扱っていたのは、ある海外企業の未上場トークン。「上場したら10倍になる」と書かれていた。書かれていただけだった、と後にK.Sさんは言う。
最初の「配当」は、本当に振り込まれた
K.Sさんが最初に入れたのは、30万円。すると数日後、口座に「配当」として3万円が振り込まれた。本物の入金だった。
この最初の入金が、いちばん効いたという。「嘘なら金は戻ってこないはず」と思った。疑う理由が、その時点で消えた。
次に100万円を入れた。また配当が振り込まれた。グループ内では「今が最後の買い増しのチャンス」というメッセージが続いていた。
振込先の口座名義が、増資のたびに変わった
追加で送金するたび、指定される振込先の口座名義が変わっていた。個人名のこともあれば、聞いたことのない会社名のこともあった。
一度だけ、「振込先が毎回違うのはなぜか」と尋ねた。返ってきたのは「決済の都合」という短い返事だった。深くは追わなかった。追えば、信じてきた3ヶ月を否定することになる気がした。
取引画面にはいつも、増え続ける残高が表示されていた。480万円を入れ終えた頃、画面の評価額は1,200万円を超えていた。
上場したら10倍、と書いてあった。書いてあっただけだった。
ある朝、グループごと消えていた
3ヶ月目のある朝、LINEを開くと、グループが消えていた。旧友のアカウントも、講師のアカウントも、友だち一覧から消えていた。
取引画面にはログインできなくなっていた。表示されていた1,200万円は、どこにも引き出せなかった。残高の数字は、証拠にも財産にもならなかった。
K.Sさんは警察と、消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談した。振り込め詐欺救済法に基づく手続きの説明も受けたという。ただ、振込先の口座はすでに残高が抜かれていた。戻ってきた金額については、まだ書ける段階にない。
同窓会で再会した旧友が、最初から仕掛けの一部だったのか、別の誰かに使われていただけなのか。それも、わからないままだという。
K.Sさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はK.Sさん個人の体験から得られた視点の整理であり、当サイトからの投資助言・売買推奨ではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。
- 「お前にだけ教える」は詐欺の典型フレーズ。
- 振込先が個人口座の時点で、立ち止まる。
- 取引画面の残高表示は証拠にならない。