ナンピン4回目で、もう戻らないと気づいた ─ 信用買いで280万円が消えた話(40代男性・本人とのやり取り)
Y.Aさん(42歳男性・関東圏・WEB制作業の個人事業主)が、グロース市場の個別株でナンピンを4回繰り返して、最終的に280万円台の損失を確定するまでの記録。
Y.Aさん(仮名・42歳男性・関東圏でWEB制作業を営む個人事業主)から届いた話。グロース市場の個別株を信用で買い、ナンピンを4回繰り返して、280万円台を失った経緯。本人の希望で、正確な損失額は伏せてある。
管理人も株は持っている。だから「もう少し下がったら買い増せば、平均取得単価が下がる」という発想の入口は、よくわかる。わかるからこそ、Y.Aさんの話は他人事に思えなかった。
最初に買ったのは、決算を読んで選んだ一銘柄
Y.Aさんが買ったのは、グロース市場のあるIT関連銘柄。売上が伸びていて、決算資料も読み込んだうえでの判断だった。最初は現物で100万円ぶん。
株価はしばらく横ばいのあと、じわじわと下がり始めた。理由のはっきりしない下げだった。Y.Aさんは「業績はいいのだから、いずれ戻る」と考えた。
1回目のナンピン ──「平均取得単価を下げる」
最初の買い増しは、株価が2割ほど下がったところ。今度は信用取引を使った。「同じ株を安く買い増せば、平均取得単価が下がる」という、教科書にも載っている考え方だった。
平均取得単価は、たしかに下がった。含み損の率も、見かけの上では小さくなった。数字が改善したように見えることが、次の買い増しへの抵抗を消していった。
2回目、3回目 ── 下がるたびに買い増した
株価はさらに下がった。2回目、3回目と買い増しを重ねた。そのたびに「平均取得単価を下げる」と自分に言い聞かせた。
信用での建玉は膨らんでいた。評価損の額も膨らんでいた。けれど画面に表示される平均取得単価だけは下がり続けていて、その一点を見ているあいだは、前に進んでいる気がした。
4回目の朝、もう戻らないと気づいた
4回目の買い増しをした翌朝、株価はさらに下げて寄り付いた。Y.Aさんはそのとき、初めて「これは戻らないかもしれない」と思ったという。
気づいたきっかけは、相場ではなかった。買い増す現金が、もう手元に残っていなかった。下がっても、もう買い増せない。平均取得単価を下げるという行為が続けられなくなって、初めて止まった。
平均取得単価を下げたい、と思った時点で、もう負けていた。
損切りボタンが、半年押せなかった
戻らないと気づいてからも、すぐには手放せなかった。ここで売れば、4回ぶんの判断がすべて間違いだったと認めることになる。その「もったいない」が、半年近く損切りを遅らせた。
最終的に建玉を整理したのは、信用の期日が迫ったから。自分で決めたわけではなく、期限に背中を押される形だった。確定した損失は280万円台。正確な数字は、本人が今も口にしたがらない。
Y.Aさんは今、信用取引の口座を閉じている。「ナンピンそのものが悪いのかは、正直まだわからない」と話す。ただ、現金が尽きるまで止まれなかった自分のことは、はっきり覚えていると言った。
Y.Aさんの体験から、整理できること
編集者注:以下はY.Aさん個人の体験から得られた視点の整理であり、当サイトからの投資助言・売買推奨ではありません。投資判断は読者ご自身の責任において行ってください。
- ナンピンは「平均取得単価を下げる」目的で始まり、「やめられない」目的で続く。
- サンクコスト効果(埋没費用効果)の罠。